トヨタセーフティセンスCは廉価版でも十分な機能で事故予防

予防安全の技術によって事故を防止する機能を各メーカーから提供されていますが、トヨタのセーフティセンスCは上位モデルが高額のため、普及版として登場した廉価版です。
廉価版とはいっても、ドライバーのミスをカバーし、追突や車線はみ出しなどの事故を防止するのに十分な機能を持っています。

トヨタはセーフティセンスCを開発するにあたり、実際に起きた事故の状況を分析し、事故が起きやすい高速度域での走行中の事故や夜間の対人事故の防止、さらに車線をはみ出した場合の警告等の様々なケースでの事故防止サポート機能をパッケージ化しました。

■セーフティセンスCの機能

レーザーレーダーと1つのカメラを組み合わせて異常を検知するシステムにより、予防的な安全性能を追及しています。

追突事故を防止するプリクラッシュセーフティシステム、車線をはみ出すのを防止するレーンディパーチャーアラート、夜間の照明の暗さによる事故を防ぐオートマチックハイビームの3つです。

■それぞれの機能の内容

・プリクラッシュセーフティシステム
ステップ1:衝突の危険があるとシステムが判断したとき、ブザーとディスプレイ表示で警報を発します。レーザーレーダーとシングルカメラで前方の車両を検出し衝突する危険があることを警報を発して知らせます。
ステップ2:ステップ1の警報に気付いたドライバーがブレーキを踏むと、「プリクラッシュブレーキアシスト」が作動、最大限度までブレーキングの力をアシストして最大の制動力を発揮させます。時速30~80km/hで作動します。
ステップ3:ブレーキを踏めなかった場合にも自動ブレーキにより衝突のスピードを少しでも和らげるようにブレーキをかけます。前車との速度差が30km以下であれば衝突回避、それ以上の速度差なら衝突速度と被害を軽減させます。ステップ3では時速10~80km/hに作動領域が広がります。
速度の高い事故ほど死亡率が高いので、高い速度での追突に備えたシステムになっています。また、ドライブシミュレーターの追突試験では、事前の警報さえあれば9割の人がブレーキを踏めたというシミュレーション結果によるシステム設計になっています。

・レーンディパーチャーアラート
車線はみ出し防止システムです。シングルカメラにより、道路に引かれた白線・黄線を検知しながら走行し、ウインカーを操作しないで線を越えそうになるとブザーとディスプレイ表示で警報を出します。幅3m以上の車線を時速50km/h以上で走行している場合に作動します。
重大事故の約3割が車線逸脱が原因なので、車線逸脱の危険をドライバーに知らせるシステムがレーンディパーチャーアラートです。

・オートマチックハイビーム
夜間の暗さによる対人事故を防ぐためのシステムです。夜間に周囲の暗さをシングルカメラが検知すると、ハイビームとロービームを自動て切り替えてくれます。
手動切り替えのわずらわしさを軽減し、遠くまで照射できるハイビームによる走行時間を長く取れるようにします。前車や対向車の明かりを検知するとロービームに切り替え、前車や対向車がいなくなるとハイビームにします。
夜間の対人事故のうち、重大事故の割合は昼の2.7倍もあることに注目し、夜間の歩行者の発見を早めるのがオートマチックハイビームです。

・付帯機能:先行車発進告知機能
ブレーキを踏んで停車している時、前車が走り出して4m以上の間隔が開いた場合に、ブザーとディスプレイで警告してくれます。

・メーカーはいずれの機能も補助であるとしてドライバーの注意を喚起
いずれの機能も急カーブになっている場所や、急な坂の看板で誤作動する場合があり、また急な飛び出しがあった場合には作動しない場合があることを注意喚起しています。あくまでも補助機能であるため、過信せずに安全運転を心がけるようにしましょう。

■まとめ

トヨタは将来、予防安全システムを全車種に標準装備する目標を持っていて、その目標に限りなく近づいた「廉価でも機能が十分」なシステムだと言えるでしょう。搭載のオプション価格も5万円台という安さで、この価格は他のメーカーと比較しても群を抜いた安さになっています。

完璧とは言えなくとも、廉価版とは思えないかなり完成度の高い衝突防止システムで、作動速度域も10~80km/hと幅広いのが特徴です。自動ハイビームに切り替えてくれたり、高速走行時の車線逸脱を警告してくれるなど、事故の分析からフィードバックしたシステムはドライバーにとっての頼もしいアシストになってくれるでしょう。

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