アメリカのグーグルが開発中の自動運転車がテスト開始後では初の事故を起こしたことが発表されました。事故が起きたのは2016年2月14日の午後、レクサスRX450hを自動運転車に改造した車がグーグル本社があるマウンテンビュー市の公道をテスト走行中にバスと接触したとのことです。
自動運転のレクサスが道路上に落ちていた障害物(砂袋)を検知してよけようとして左によけたところ、左後ろからバスが来ていて接触したということです。
アメリカは右側通行なので、日本で言えば、進行方向の路上に砂袋が落ちていたので右へよけたら右後ろから来たバスに衝突したという状況になります。
接触した速度は、自動運転の車が時速3km/hという徐行運転で、バスは時速24km/hの低速でした。この事故でグーグルの車は左側の前の部分のボディとタイヤホイールを損傷し、自動運転のセンサーの一部も壊れたそうです。バスの乗客と自動運転車に乗っていたグーグルの技術者にけがはなかったそうです。
自動運転の車がバスの進路上に割り込んだ形の事故で、車に乗っていたグーグルの技術者はバスが避けてくれると思ってブレーキを踏まなかったと語っており、自動運転のシステムも「バスが避けてくれるだろう」という判断をしたことがわかったそうです。
過失はソフトにあったとグーグル社は認めており、判断ミスをしたソフトを修正版と交換したと発表しました。
グーグルは修正するにあたって、「バスや大型車両は道を譲る可能性が低い」とAIに学習させたとのことです。だとすれば、今までは「道を譲ってもらえるだろう」という考え方であったということになります。それは慎重な運転とは言えないのは確かなことです。
これだけであれば、やっぱりまだまだ自動運転は危ないと思われてしまいますが、テストを開始した2009年から、のべ220万キロ以上の走行テストを行ってきて、初の事故だというのも事実です。
のべ220万キロのテストには複数の車両が参加しており、トータルで20回程度の事故にはあっているものの、すべてテストドライバーの運転中の事故または相手に過失のある「もらい事故」なのだそうです。
これだけの長距離を走って、過失による事故が初めてというのは人間ならば相当に慎重な運転をしていると言えるのではないでしょうか。しかし、自動運転には事故はあってはならないという高いレベルの安全性が求められます。自動運転車は運転ミスによる事故を起こさないために開発されるからです。その高い目標があるので、今回の事故により自動運転技術はまだまだミスをするレベルだという見方をされても仕方がないということです。なので、今まで以上に慎重な運転をするソフトに進化していくことでしょう。
アメリカの運輸省は自動運転のAIをドライバーとみなす法的な方針を明らかにしました。ただし自動運転車が人間の運転する車の基準レベルを満たせることをどのように証明するかが課題であるとしました。
自動運転はまだ発展途上ですが、各メーカーでも近い将来の実用化を目指しています。すでに普及している自動ブレーキの技術もその一部であり、事故を起こしにくい車がこれからも増えていくことは間違いないことのようです。