たとえば、エスティマを買取査定に出すとします。買取業者Aは50万円、買取業者Bは60万円、買取業者Cは70万円だったとします。
買取業者によって買取査定額がなぜこうも違うのでしょうか。それは業者により販売経路・得意車種・バックオーダーなどの事情が異なるからです。
■得意車種の違い
通常の買取業者は買い取った車を業者間オークションに流して利益を出しています。業者間オークションは中古車販売店の仕入れ場所となっています。寿司屋が魚の仕入れに来る築地市場みたいなものが中古車にもあり、オートオークションと呼ばれます。買取業者が出品した車を中古車店がオークション形式で落札して仕入れていきます。また海外へ輸出される車もオートオークションで外国人が仕入れていきます。
上記のエスティマは中古車ショップの店頭価格=中古車相場で80万円で売れる場合を想定しています。
さて、買取業者Aは50万で仕入れ、オートオークションへ流し60~70万円くらいで落札されるだろうと見ています。エスティマは得意車種ではなく、本当はもう少し頑張れそうな気がしますが、リスクをおかしてまで無理に高く買う必要もないという状況です。しかし結果的に競合他社に負けて、買い取れません。
そして買取業者BはAとの競合があるのでAより高くギリギリの60万で仕入れ、オートオークションへ70万以上で流す予定です。エスティマは得意車種で、相場を熟知しているためギリギリまで値段を出せるのです。Aには勝ちますが、運悪くC社に負けてしまいます。
このA社とB社の違いは、得意車種の相場を読めるかどうかの差として現れています。A社はエスティマが不得手だったために、エスティマが得意車種のB社に負けてしまいます。
■販売経路・バックオーダーの違い
C社が最終勝利者になったケースですが、C社はなぜ最高値を出して買い取れたのでしょうか。それは、C社は直販もやっていて、全国のチェーン店の店頭で仕入れた車を直接お客様に販売しています。そして、このケースではエスティマのバックオーダーがあったのです。全国規模でのバックオーダーのデータがあり、ちょうど80万円くらいでエスティマが欲しいというお客様がいて、入庫したら即、買ってもらえるオーダーが入っていたというわけです。このケースでは販売経路として直販をしていたC社が勝ちました。
ここでのC社は販売経路として直販をしていたため、すぐに仕入れた車を買ってもらえるという有利な状況がありました。なので強気で高い買取査定が出来たのです。
買取業者は、直販をしている業者も多いので、バックオーダーがある場合や、バックオーダーがなくても得意車種の査定に強い場合など、高額査定が出る業者に当たれば10万円単位で差が付くこともあります。
買取業者によって査定額が違う理由は外から見ていてもわかりませんので、ユーザーとしては下手な鉄砲も数撃てば当たる方式で、多数の買取業者に査定を依頼できる一括査定が有利ということになります。