車検証の所有者欄に自分以外の人や会社が記載されている場合、そのままでは売ることはできません。所有権のある本人しか売却をすることができないからです。自分でローンを払っていて使用者が自分だとしても売ることができないのです。
ローンが残っている車だけではなく、会社の車や相続した車など、所有者が自分以外の車の売却方法については、それぞれ以下のようにすれば売却が可能です。
■ローンの残っている車
ローン中の車は車検証の所有者欄にローン会社が記載されているはずです。ローンを支払い中は、所有権はローン会社にあるからです。購入者はローンを完済するまでは使用者として記載されていることになります。これを所有権留保と呼びます。ローンを完済すると、所有権がもらえますので、この段階で売却する権利も得られるのです。
ローンを完済するまで売れないのが原則ですが、完済する前に売る方法があります。それは、買取査定を受けて、ローン残高より買取価格が高い場合には売ることができます。(もし査定額が低くてローン残高に満たない場合は足りない差額を自分で払う必要があります。)
買取業者によっては、ローン残高分をあなたの代わりにローン会社に支払い手続きをしてもらえる場合があります。買取業者の大半は、ローン中の車でも買取をしてくれますので、残高より査定額が高くなるよう、複数の査定を一括で受けられる一括査定サイトの利用が効果的でおすすめです。
■会社の車(法人名義の車)
所有者欄が会社という点では、ローンの残っている車に似ていますが、所有権はローン会社ではなく、所有者が法人ということですので、法人の証明書類をそろえれば売却することができます。
法人名義の車を売却するには、個人名義の車を売るときと用意する書類はほぼ同じです。ただし法人の証明書は個人とは違い、法務局で取得する必要があります。必要書類で個人と違うのは以下の書類です。
・印鑑証明書
法人の実印を譲渡証明書と委任状に押すので、実印を登録している証明としての印鑑証明書が必要です。個人の印鑑証明書は市区町村の役所に登録しますが、法人は法務局に登録してあります。
会社の本店と支店が有る場合はそれぞれの住所の管轄法務局になります。たとえば車検証の所有者欄の記載が支店になっていたら、支店の登記をしている法務局で取得します。同じ印鑑を登録していても、印鑑証明書の名義と住所の記載が車検証と一致している必要があるためです。車の所有者が本店名義で使用者が支店の場合は、本店の印鑑証明書を用意するようにします。
・譲渡証明書と委任状
押印する実印は車検証に記載されている法人の実印を押印します。名義が本店なら本店の実印、支店なら支店の実印を押します。所有者が本店、使用者が支店なら本店の名義なので本店の実印を押します。
・登記簿謄本が必要な場合
車検証の住所と印鑑証明書の住所が違う場合は登記簿謄本を添付して、本店が移転したことを証明する必要があります。本店の管轄の法務局で取得します。
■相続した車
所有者が亡くなって車を相続したときは相続人に名義変更してから売却するようにしなければなりません。
ここでは長くなるので、詳しくは「相続した車を売る方法」をご覧下さい。